「……こちら引換券になります。」
私は、ボーッとしたままCDを予約した。
店員が、りょうくんを見て、不思議そうな表情をしていた。
私はバレるんじゃないかなって、ドキドキしたけど……
りょうくんはまるで気にしてなくて、ずっと私のとなりでニコニコしてた。
それが逆に良かったのかな?
アイドルがこんなところに女の子といるわけないって、普通の人なら思うよね。
「……何か不思議な感じだね。自分のCDを……彼女が予約するなんて。」
りょうくんの口から聞こえる「彼女」っていう言葉が、くすぐったい。
「……じゃあ、行こっか。」
「うん……今度はりょうくんの好きなところに行こうよ!」
ついこの間まで、憧れだった、会えるはずがないと思ってたりょうくんが、今は私の……彼氏だよ?
……世界で一番甘い果実の一番甘い部分だけを、贅沢に食べてる気分だった。


