あれから数年が経った。
未だに填魔は心の中にいる。
あの時、言いそびれた言葉。
「ありがとう」
そう囁いた言葉は空に吸い込まれるように消えていった。
そして…また思い出す。
きっと…
きっと私は信じてる。
填魔と過ごした日々は幻なんかじゃないって。
ずっと…
ずっと、待ってる。
私は忘れないよ。
填魔が言った最後の言葉を……
左手の薬指にはまった、指輪と共に。
永久<とわ>と共に、忘れはしない。
填魔という吸血鬼の事。
顔…
声…
優しさ…
ぬくもり…
全て、私の宝物。
ずっと填魔は私の心の中に居るよ。
いつまでも…ね。
もし、もう一度填魔が帰って来るならば…
今度は言いたい。
「ありがとう」そして、「愛してる」……と。
もう一度…もう一度。
…End…
