「ちょっと前は
だいぶ調子よかったんだ。
でも入学式前に
また調子悪くなってさ…」



本当は入学式出たかった、
と悲しげな表情で言った。




「…大丈夫なんだよね…?」



声が出てこない。

入学式に出たかったこと、
とても楽しみにしてたこと、



そんなことは坂田の表情から
よくわかった。



だから、だからこそ、
何を言えばいいのか
わからなかった。



「心配しないでね。
俺、前向きに考えてるから。
ちゃんと病気と
付き合っていこうと
思ってるから。」




私の表情から
気持ちを察したのか、
坂田はそう言った。




「調子がいい日は
ちゃんと学校来るから。」



にっこりと笑う彼の笑顔は
夕陽に照らされて
きらきらと輝いていた。