「またここに居たんですか……」 ピアノの音色が響く教室。 うちは、その人のことを無視するように指を動かす。 「おやおや、無視ですか?」 その人は白衣を靡かせてうちに寄ってきた。 「いつ見てもキレイな黒髪ですね」 そう言って家の髪を一房自分に引き寄せた。 「神山さん。いえ、有紗」 その一言はうちの指を停止させた。 そしてその人を見た。 「五月蝿いです、センセ」