「掃除する所もないし、何していいかわかんないよ~」
千尋さんの部屋はすごく綺麗。
「ははっ、ごろごろするのもすぐ慣れるよ」
続けて千尋さんは、今まで使ってなかった有給たくさん余ってるからいっぱい遊びに行こうね、と言ってくれた。
でも。遊んでるわけにはいかない。
「そうだ、ちーちゃん。バイト、どこが良いかな?」
帰ってから聞くつもりだったけど、今聞く事にした。
「んー居酒屋以外!」
え……
いちばん時給良いのに~…
「だって居酒屋って夜からでしょ?だいたい5時に開店だから、ちょうど入れ違いになっちゃうじゃん。それじゃ意味ないでしょ?それに変なオヤジに絡まれてるの想像したら、俺むりだもん」
千尋さんは拗ねたように言った。
その姿がすごく可愛かった。
「うーん、入れ違いになるのは嫌だな。」
そう言えば家のすぐ近くの本屋さんも、求人誌に出てたな…
「じゃあすぐそこの本屋さんは?だめ?」
まだ電話もしていないのに、入るつもりで言う僕。

