「すいませんでした…」
私は恭也さんに向かって頭を下げた
愁と私の婚約発表は次の日おじいさんから恭也さんに伝えられた
紘一さんも愁も私が謝る必要はないって言ってたけど…
私は納得できなかった
だって…前日にすっぽかしたんだよ…?
いくら無理矢理とはいえ…ひどいことをしたと思う…
『謝らないでください。僕が謝れないじゃないですか…。』
恭也さんは苦笑していた
「でも…」
『これを…お返しします…。』
恭也さんはポケットからあるものを取り出し、テーブルの上に置いた
「指輪…!!」
私のシルバーリングは輝きを失わずそこにあった
私はそれを手に取ると大事にしまった
『彼もどうやら心配しているようですしね。早く行ってあげてください。』
恭也さんの視線の先には出口に立つ愁の姿
もう…ひとりで大丈夫って言ったのに…
恭也さんの前だと余計に気まずさが増す



