『誰…?』


腕を掴まれていたその人はひどく驚いていた


「あ…すいません…人違いでした…」


私が愁だと思っていた人は愁とは似ても似つかない顔をした別人だった


スルッと腕から力が抜けて、掴んでいた腕を離した


その人は私を不審げに見て、再び人ごみの中に消えていった…



やだ…


会いたいって…思ってた…から幻でも見たの…っ…か…な…?


本当に愁だったなら間違えないって自信がある


もう限界…っ…


会いたいっ…会って抱きしめて…欲しい…っ…


幻でもいいから会いたいよっ!!


どんなにつらい言葉を投げかけられたっていい


それが本物の愁の言葉なら



周りには何百人っていう人がいるのに私はひとりぼっちだった


誰からも見向きをされずポツンとひとりたたずんでいた―…