『そうでしたね。』
恭也さんはクスッと笑うと今度はネクタイを締め始めた
『質問を変えましょう。何か必要なものはありますか?』
「着替えが…欲しいです…それと、紘一さんにも連絡したいです。」
きっと紘一さんは心配してる…
前に約束を破ってからキチンと門限には帰るようにしてたもん…
『着替えはある程度は部屋のクローゼットに入ってます。足りなければ明日買いに行きましょう。
あと高梨社長には僕から連絡済みです。
婚約の準備があるのでしばらく預かりますと言っておきました。』
「勝手に…っ…決めないで…っ…」
自分のことなのに自由にならないのが歯痒くてたまらなかった
私は下を向くとぎゅっとスカートを握り締めた
『仕事が終わるまでこの部屋で大人しくしててくださいね。』
恭也さんは私の頬にキスを落とすと、いくつかお手伝いさんに言い残しその場から去った―…
悔しい…っ…
私は唇を噛み締めながらひたすら自分の迂闊さを恨んだ



