「お願い…だからぁ…っ…」
耐えられない…こんな…無理矢理…っ!!
必死になって懇願すると…
少しだけ力が緩んだ気がした
私はその一瞬の隙をついて愁を突き飛ばした
愁は思わぬ反撃により玄関の床に尻餅をついた
私はカバンを引っ掴みその場から逃げ出した
『あれ~。美弦ちゃん~?』
通路に出ると匡人先輩と出くわした
でも今はかまっている暇はない
一刻も早く愁の部屋から離れたかった
私は匡人先輩の横をすり抜けた
走り続けた…
愁の冷たい眼から、感情を押し殺したような顔から逃げ出すように…
走り続けた
怖かった…怖くて…怖くて仕方なかった…
な…んで…!?
別人だった…私の大好きな愁じゃなかった
私は徐々にスピードを緩めた
私が…そうさせたの…?
私は壁に手をつくと…
その場に崩れ落ちた…



