『美弦さん…すいませんね…?』


婚約者さんは30分経っても現れなかった

おば様は気を使って私に話しかけてきた


「いえ…」



私は微笑んだけど内心、このまま現れないで欲しかった



もしかしたら婚約者さんも婚約が嫌なのかしら…?



だから顔合わせにも来ない…とか…?



だったらかなり嬉しいんだけど…!!



不謹慎にもそんなことを思っていた



でも世の中そんなに甘くなかった




バタンッ!!




『申し訳ありませんっ!!遅れましたっ!!』



扉が開くとともに息を切らせた男性が部屋に飛び込んできた―…



『構わんよ。早く席につきたまえ。』



おじいさんは頭を下げる男性を席へと促す


『すいません。』



男性が頭を上げると私とバチッと目があった



¢&@∞♂%―――っ?!



叫び出さなかった自分を褒めてあげたい…


男性はニコッと笑ってこう言った


『今日は迷いませんでした?』



おじいさんは私と知り合いだったのかと嬉しそうに話しかけていた―…