先生の目が、見開かれる。 あからさまに驚いている顔だ。 鳥海くんが先生に、「僕のこと捨てるの…?」って聞いたとき、先生は唇を噛んでた。 そうするときって、なにかを我慢してるときだと思う。 先生は、きっと、なにかを我慢している。 「……そうね、 好きかもしれない」 ひざの上に置いた手を、ぎゅっと握り締めながら、先生は言った。その表情はうつむいているので、どんなものだかわからない。 だけど、先生の声は、とても、悲しそう。