その日、わたしは突然、屋上へ無性に行きたくなった。あの心地よい風に吹かれたくなった。

 ここのところ、ずっと梅雨特有の灰色の雲が空を覆っていたのに、きょうに限って清々しいほどの快晴だったせいかもしれない。

 わたしは昼休みを待たずに、屋上へと足を運ぶ。

 校内では授業が始まっていようが、そんなことは関係がなかった。

 屋上と言っても、避雷針を立てるための大きな土台があるので、ベンチのあるその土台の壁側の場所は日陰ができている。

 わたしはそのベンチに仰向けに寝転がり、腕で目を覆う。

 じっとりとした湿気を含んだ空気を吹き飛ばすような、清々しい風が心地いい。