それから彼は、学校へ来なくなった。



 自分で確かめたわけじゃない。

 そんな噂を聞いた。


 クラスメイトたちは、またもとに戻っちゃったね、と心配そうに話している。

 そういえば、前に鳥海行成と知り合いか、と聞かれたときに、一年の頃はあまり学校にきていなかったと言っていたような気がする。


 彼が失恋をしたあの日から、すこしだけ時間が経過した。


 図書室で彼と初めて話したときには、桜がまだ咲いていたのに、今では夏へと移り行く梅雨の時期になっていた。