ここに向かうとき使命感のように思っていた、励ましてあげられる相手はわたししかいないなんて考えは、とんだ勘違いだった。

 すきな相手に拒絶されたとき、どんなに励ましてもらっても、立ち直れないのではないだろうか。

 励ましてあげる、癒してあげる、とはなんて愚かなんだろう。「~あげる」なんて上目線で見ていたら、相手を負組に見ているようなものだ。

 結局は自分で這い上がるしかない、と思う。
 

 わたしは彼に背を向けた。