「ちゃんと話を聞いてよ、行成!」 行成。 そう、彼だ。 昼休み、いっしょに過ごしている、彼。 でも、行成、ってなに? どうして、松本先生が鳥海くんを呼び捨てにする必要があるの? その前に、どうして図書室の鍵をかけてまで、ふたりだけで話しているの? なにがなんだかわからず、足が竦んでしまう。 この、引けば簡単に開く扉を開けることができない。