でも、女子たちのおかげで、 彼のことがすこしだけわかった。 ふむ、なるほど。 三年十組の鳥海行成というのか。 しかも、人気者。 歩きながら、さっき女子たちの言っていたことを思い出す。 わたしとは、正反対の人なんだなあとぼんやりと思う。 屋上は、やはりだれもいなかった。 誤って落ちたりしないようにしてある背の高いフェンス、 色あせたベンチ、 あざやかな花の咲いているプランター。 ここは、落ち着く。