「あのぅ……」
わたしはこの空気にたえきれず、声をかけようとする。
しかし、それと同時くらいに、
クラスメイトたちが口を開いた。
「三年十組の鳥海行成(トリウミ ユキナリ)くん。
この高校でいちばんの人気者だよ?」
「そうそう!
頭がよくて、運動神経もよくて、
かわいい!」
「かわいい、といえばさ、
一年のときは超クールでとっつきづらかったのに、
いつの頃からかな、
やわらかくなったよね」
「え、鳥海くん、
一年のとき、あんまり学校来てなかったからわからないけど……
でも学校来てたときはだいたい違う女の子連れてたよね。
いいなー、
あたしも一緒に歩きたいよ」
「あ、でも三年になってからは、
女の子と歩かなくなったよね。
彼女できたのかな」
「えー!まさかあ!
女の子と遊ぶの、
飽きただけじゃん?」
「そうなのかなあ。
まあでも人気なのには変わりないしね!」

