いったいだれだろう、と辺りを見回す。 するとクラスメイトたちが不思議そうな顔をして、 ある一点を見ていることに気付く。 「藤原さん」以外にわたしのことを呼ぶこの人たちにとって、 「凪子」はとても新鮮に感じて、 そう呼ぶ相手が気になったのだろう。 そろって見ている方向を、わたしも見る。 教室の窓の向こう。 隣のクラスへとつながる廊下に、 彼はいた。