「元気な子が生まれたらいいね」


 予定日は、鳥海くんとわたしが仲良くなった季節だそうだ。

 わたしの言葉に、鳥海くんはわたしを見つめながら「うん……」と気のない返事をする。

 どうしたのだろうと思い、鳥海くんの様子を窺っていると、彼は唐突に言った。


「俺も、子どもほしい……」


 あまりの衝撃に、わたしは持っていたいちご牛乳のパックを握りつぶしてしまった。

 中から、ストローを伝って、桃色の液体が溢れる。