不安定帰路【短編】


「未紗は俊樹が好きだと思ってた」



「え?」



「だって俊樹と喋る未紗はすごく可愛く見えるから」



可愛い?
俊樹と話す私が?



「私は、今のままで良かった。ただ一緒に帰って、話してるだけで。
付き合わなくたって楽しかった」



「でも俊樹は特別だろ?」



彼は白い息を吐きながら優しく私を見下ろした。



「それは、俺や他の奴じゃ無理だろ。俊樹だから楽しいんだろ?」



俊樹といると楽しい。



他の人とだって楽しい。



でも、俊樹といる楽しさは他の人とは別。



家族みたいな安心感があって、家族ではない楽しさを感じる。



俊樹だと、嫌なことも楽しいに変わる。