「あぶなっ」



「!!」



腕に引かれた重みと目の前を通過する車にびっくりする。



「何ぼーっとしてるの」



「……ごめん」



離された腕が寂しいと彼を求める。



ああ、どうしよう。



鼓動がどうしようもなく速くなる。



自分の気持ちを認めたら何かが変わりそうで恐い。



だから頭で踏みとどまる。



「未紗」



名前を呼ばれて慌てて彼の後を追う。



「どうした?」



「びっくりしただけ」



「車に?」



「うん」



本当は腕を掴まれたことにドキドキした自分にびっくりした。