「これからはハナちゃんが居るから、全然寂しくないぜ?」

「……今までは?」


私は赤くなった顔を隠そうと俯きながら聞いた。

しばらくこの手は離してくれそうにない。


「母ちゃんは死んだし、親父はずーっと海外だからな。そりゃ寂しかったさ」

「えっ、死んだって……?」

「そんな悲しそうな顔すんなよっ!……じゃ、ハナちゃんに俺のお母さんになってもらおうか」


暗くなっていた私に、巽さんは飛びついた。

背中に回された手がいやらしく這う。


「お母さん、お母さーん!」

「ぎゃーっ!私はこんなプレイ好きじゃないーっ!」

「これもメイドの仕事だ!」

「んなわけあるか!」


体に巻きついた変態を引きずりながら歩く。

一刻も早く学校に着いてくれ!