毛利家での初めての朝。

やわらかなベッドは寝心地が実に良い。


「ハナちゃーん!起きろ!」

「……ん~まだ眠い~」

「ご主人様に起こされるメイドなんて聞いたことねーぞ?」

「……うるさ~い」

「よし、お邪魔します」

「なんでそうなるかがわからない!」


何故か私のベッドに進入してきた巽さんを蹴り飛ばし、ベッドから逃げ出す。

さっきまで寝ぼけていた私だったが、おかげで一気に目が覚めた。


「痛たたたたた……何すんだよ!」

「こっちの台詞です!何してんですか!」

「メイドと添い寝はご主人様の特権だろ」

「馬鹿ですか!馬鹿なんですね!」


巽さんから毛布を剥ぎ取り、床に落とした。


「……それで、もうもうひとつ言いたいことがあるんですけど」

「ん?何?」

「コレですよ!コレ!」


――部屋の隅に掛けてあった可愛らしい制服。

それを掴み取ると、巽さんに詰め寄った。