拓海はマイクの音量の調節をしている。
すると周りの人たちが小声で言う。

「さっき教室に居る時から思ってたんだけど、あの人カッコ良くない?」

「うん。一番後ろの席の人でしょ♪」


そういえば中学の入学式のときもこんなことがあった気がする。

あたしはそんなことを思い出し、ちょっと笑みが零れてしまった。
隣りの男子が変な目でこっちを見ている。

やだな…
あたし何ニヤけちゃってんだろう。


そのあとも拓海の話が終わるまで今までの思い出に浸っていた。

拓海の話が終わってからも
来賓の人たちの話とかがあったんだけど、ひとつも頭に入らなかった…



「新入生退場」

こうして波乱の入学式は過ぎていった。