「望夢。今日は、帰ってくれないかな。」 そう、ナナが言った。 そして、俺に聞こえるか聞こえないかの、小さい声で、こう言った。 「ごめん。」 俺は、小さいナナの声を聞き取った。 そして、ナナの泣き声も。 俺は、それを無視しながら、こう言った。 「悪かったな。連絡しなくて。じゃ、帰るよ。」 俺は、途中まで開けたドアを閉め、帰ろうとした。 あっ。そうだ。 ナナに、これだけは、言いたい。