「違うってわかってるけど、もし、ナナみたいになったらって。」
「どういうことだ?」
「俺は、ナナの基本中の基本しか知らなかった。
フルネーム、誕生日、親父との関係、歳。それくらいしか知らなかった。
夢果の場合、フルネーム、歳くらいしか、知らねえ。ナナより知らないし、なんか、怖いんだと思う。」
「そうだな。そのほうがお前にも、夢果ちゃんにも良いかもな。でも、圭志は……」
「圭志にはこのことちゃんと言うよ。圭志には、いろいろ世話になったし。でも、これからは一人で頑張るって。」
「それを、聞きたかった。圭志との関係をぐだくだと続けるのかって。」


