「新郎新婦、入場。」
それから、ナナの結婚式の記憶は、あまりない。
でも、一つだけ。
俺のところに、ナナが歩いてきた。
「はい、これ。」
それは、女が取り合って貰おうとするブーケだった。
「お返しとまでは、言えないけど。」
あっ、手紙を読んだんだって、すぐわかったよ。
「ありがとう、ナナ。」
周りは、花嫁が直接ブーケをあげあていてビックリしたみたいだ。女の子ならまだしも、相手は、男の子だから。
ナナは、海斗さんのとこに戻っていった。
そしてすぐに、お色直しに入った。
お色直しに向かうときのナナの顔は、なんだか悲しそうで。でも、幸せに満ちあふれていた。


