うちは、頷いてみた。
たぶん、聞いたことある話だと思うけど、聞いた事ない話かも知れないから。
「俺は…、初恋の相手に貢いでたんだ。」
えっ?!!ナナさんに?
「俺の客が、俺に貢いだ物を売っては、あいつに服、バック、靴、アクセ、マンションの月代、車…」
………!!!!
「引くよな…。」
引かないけど…。本当にビックリ。
「でも、俺、それくらいナナが好きだった。
だから、ナナが喜んでる顔や、嬉しがってる顔が見たかった。
だから、だから…!!」
「わかってるから。ね?」
「あ、ああ。」
「でも、もう貢いでいないんでしょ?
じゃ、過去のことはもう忘れよう。
過去は、過去。今は、今なんだから。」
圭志の優しい声。
望夢も、安心できるのかな。


