入口の近くで話してる人達に、恐る恐る話しかけてみる。


「すいません、ライブハウス“ROSSO”ってここですか?」


そのうちの一人の大学生くらいの男の人が、あたしに気づいて答えてくれた。


「そうだよ。ここに来るの初めて?」


「あ、はい」


俺達今日出るんだよ。と笑う男の人は、ゆるくパーマをかけててサロンで働いてそうな感じ。


バンドやってる人ってもっとV系っぽい人しかいないのかと思ってたけど、そんなことないんだ。


「え、おい見ろよ、この子超可愛くね?!」


後ろで話してた人達が、あたし達に気づいて一気に視線が集中する。


「じゃあ、ありがとうございました」


あんまり話しかけられないうちに結衣のとこに戻ろうとしたあたしの腕を、さっきの人とは違う黒縁メガネをかけた人が掴む。