ギターを背負って歩く後ろ姿がなんだかすごく、綺麗に見えた。 外灯に透ける赤い髪が、ふわふわと春風に揺れる。 何かが起こりそう。 春だから? そんな気がしてしまう。 「アキ……」 あたしは無意識のうちに、アキの名前を呼んでた。 アキには聞こえない、今にも消えそうな声で。