アキの右手が、あたしの右耳にかかる。 髪の毛をそっとかけられて指が耳に触れた。 「ピアス…開けてんだ」 「……うん」 「痛くなかった?」 「痛くないよ。アキも開ければ?」 あたしの言葉を聞いて笑ったアキは、ゆっくりとあたしから離れた。 「…今日は本当にありがと。よかったら、また来て」 「うん。あたしも送ってくれてありがとう」 アキはバイバイ、と言って 歩き出した。