苦しかった。


もう逃げ出したいと思ったこともあった。





けれど彼がどうしても愛しくて恋しくて。


それでも貫いてきた道だった。






「はやいね」



屋上のドアを開ければ、そこに千尋がいた。


まだ7時頃なのに既に千尋はいた。





「瀬璃もだよ」


そう言って小さく笑った。



今日はダウンヘアの千尋の髪はやっぱり今日も綺麗だった。






「俺から、いい?」


「うん」



そう言えば千尋は私の前まで歩み寄り、目の前に立つ。



久しぶりの千尋は少しだけ男らしく感じる。





なんて言われるか、想像もつかなかった。