彼の視線の先、彼女。







「ちょっと、いいか?」



そう言ったときの彼の顔は、辛そうに歪んでた。


その顔を見て私の心臓は踏み潰されたように痛い。







苦しくて、辛くて、



「・・・うん」



ただ頷く事しかできない。






「ごめん、爽香。ちょっと瀬璃と出るから」



「えっ?あっ、うん」




彼が何で私を呼んだかなんて一発で分かる。


なんて優しい人なんだろうって思った。




ギュっと胸を鷲掴みにされたように苦しいはずなのに。





やっぱり彼は、

私が好きな彼は、強い人だ。