「うわ本当。すごいね、爽香ちゃん」
そんな時、花が開くような笑顔とともに聞こえた声。
時々、千尋は天使なのか悪魔なのかわからなくなる。
「そっ、そんなことないよっ」
その誉め言葉に照れを隠せてない爽香ちゃん。
明らかに違う私が言った時との反応差に若干ショックを受けたけど、これが恋だと決め付けた。
「ううん上手だよー。俺、食べたいなぁー」
そんな初々しい2人を尻目に私は黙々と弁当を食べ始める。
目の前の壱稀もそうだったけど、突然の千尋の甘えた声に手を滑らせパンを落とした。
この分かりやすい動揺の仕方。
やっぱり爽香ちゃんが好きなんだなと実感する。
胸が、チクンと痛んだ。


