「馬鹿みたいだよね。壱稀、優しすぎるんだ」




懐かしそうな顔をした。




髪の毛を耳にかける仕草はとても大人っぽくて素敵だなと不意に思った。



この人が壱稀の好きな人、そう思うと胸が千切れそうになった。






「私が利用してること知ってたんだよ?なのに、それなのに・・・っ、引っかかったフリしてたんだ」




「嘘・・・」




「本当だよ。私それを知ったとき思ったんだ。瀬璃ちゃんに言わなきゃなって」




どこまでも優しい子だ。




自分の評価が下がるようなことを私のためなんかに自ら言ってくれた。