「つーか寧ろ嫌い」 そう言って小さく笑った。 少し開いた窓から春の匂いがする風が吹く。 その風が千尋の髪に絡まった。 綺麗だと、そう思った。 「なん・・・ーーー」 なんで? そう聞こうとした瞬間に、息が止まる。 廊下の奥に見つけた2人の影、何度も願った彼の隣。 「瀬璃?おーい、せりちゃー・・・」 私が急に止まったのを気にしたのか千尋が呼びかける。 それでも無視して千尋の奥を見つめる私に気づいたらしく振り返った。