彼の視線の先、彼女。








「私の事はいいんだってっ!壱稀は部活行かなくていいの?」



無理矢理手をどけた。


その行動に壱稀は驚いたようだったけどすぐに手を元の場所に戻した。





これでいい、これでいいんだ。


忘れるためには普通の事なんだよ。





「んなの、どうでもいい」


どけられたのは手だけだった。


距離も視線も変わらない。




それ以上何も言えなくて黙ったまま目を逸らす。




逃げちゃいたいくらいだ。

今は壱稀のことちゃんと見れない。





「壱稀こそ、変だよ」


私なんかより十分変。



だって今日1日行動が荒々しい気がする。



幸せの絶頂のはずなのに・・・。