冬。

粉砂糖のように雪が降り積もる。

二学期が終わった後に両親の仕事の都合でここ東京に引っ越してきた私-速水 鼎(はやみ かなえ)は都会のど真ん中を走る電車の中にいた。

都会暮らしは初めてでうまくやっていけるか不安だったけれども、私はそれ以上に不安な事が1つだけあった。

「何よ、この「針千学園」って」

私はこのやけにフザケた名前をしている学校に転校するのだ。

前もって調べておいた情報によれば生徒の半分ほどがいわゆる名家か大会社の「令嬢」か「ご子息」でもう半分は一般の生徒らしい。

「上手くやっていけるのかしらね・・・」

ため息をつきながら窓の外を見る。

そこには白く染まった町を蟻のように歩き回る人の群れがあっただけだった。