秘密の舞台




「あははっ!!お父さんと同じこと言ってるね」


誠人の出て行った部屋に唯織の笑い声が響いた。



「私たち、そんなに無理してるように見えるかな?」


「さあな。俺等は好きでやってんだから、気遣いなんていらないのにな」


ソファに寝そべりながら悠稀が答えた。



「まあ、高校生でありえないくらい働いてるのは確かだな」


「そうだね。普通の高校生はこんなに働かないか。
でも、私たちは要領良い方だし、何とかなってるよね」


「それどころか、事務所・会社・学校のどこでも完璧だろうが」


「うん、それが元帥との契約だからね。絶対守らないと」


「親父たちには気づかれないようにな」



唯織と悠稀、二人の祖父の四人しか知らない契約。


それは会社を継ぐのは成人してからにしてという二人の願いを聞く代わりに、元帥たちが出した交換条件。


それは、《全てにおいて完璧であること》だった。


つまり二人は《失敗は許されない》。



「今のところ大丈夫だな」


「でも一番きついのが事務所だよね。
あれは世界規模になっちゃったし、評価する人が一番多いから」


「そうだな。でも・・・その方がやりがいがあるだろう?」


「確かにね」



他の人が聞けば無茶苦茶な条件も、二人にとっては逆にやる気になる。


絶対にミスはしない。


その意識が二人を、より完璧にしていった。



「悠稀~事務所行くよ」


「ああ、急がないと遅刻だな」


二人はウィッグをつけて、生徒の格好で出て行った。