多忙を極める二人だが、そんなことは全く表に出さない。
疲れているはずなのに事務所・会社・学校のどこでもミスは一つもない。
よくやるよ・・・。
そんな二人を見て、事情を知る二人の家族はいつも感心していた。
唯織と悠稀には五歳上の兄が居る。
だから二人は財閥を継がなくても良いし、会社の手伝いも本来はしなくても良い。
兄二人は成人し、それぞれの財閥で父親の秘書として仕事をしている。
二人とも唯織と悠稀ほどではないが優秀で、天才と言っても差し支えない。
兄が財閥を継いでも良いのだが、元帥・・・二人の祖父が唯織と悠稀が継ぐようにと命令を出した。
元帥の言葉は絶対なので、悠稀の言うとおり、二人は絶対に財閥を継がなければならい。
家族が心配する中、二人は文句も言わずに全てを完璧にこなしている。
「頼もしいが、あまり無茶はするなよ」
「ありがとう、誠人さん。でも大丈夫!私たちは好きでやってるからね」
「事務所も学校も会社も、全部俺らが自分で決めたことだ。
完璧にやりきってやる」
誠人の気遣いにも平然と返す二人に、誠人は諦めてソファから立ち上がった。
これ以上言っても無駄か。
「まあ無理はするなよ。学校の事で何かあれば俺に言え。
だいたいの事は何とかしてやるから」
それだけ言って、誠人は生徒会室から出て行った。
