「今日の仕事はなんだっけ?」
軽く化粧をしながら聞く悠稀に、化粧を終えてさらしを巻きながら唯織が答える。
「新しい香水の宣伝よ。男女ペアのカップル向けなんだって」
「はっ?なら、男女でやるのか?」
「らしいよ。女役はユウだから頑張れ…あっ、悠稀ウィッグとって」
「俺が?何で俺なんだよ…これで良いか?」
色んな長さの銀髪ウィッグの中から襟足の長いのを選び、唯織に渡す。
「忘れたの?そこの社長さんはホモでしょう。ユイより男っぽいユウが女装するのを見たいのよ」
「そう言えば、…長岩社長だっけ。俺、あの人苦手だな~」
「文句言わないの!はい、これ被ってね」
唯織は金髪ロングヘアのウィッグを悠稀に渡す。
満面の笑みを浮かべる唯織から嫌々受け取った悠稀はそれを被った。
「わ~可愛い!」
「…嬉しくないわ」
嫌な顔をしながらも立ち上がる悠稀に、唯織も顔つきを切り替える。
「行きましょうか、ユウ」
「そうだな、ユイ」
部屋を出る二人の顔つきは素の時とも学園の時とも違い、神秘的で妖艶な雰囲気を醸し出すCLOWNのモノだった―――。
