木村は何も知らなかった。何も知らず、知ろうとせず、
ただ漫然と毎日を過ごしていた。
時代は変化し、それまでの常識は通用せず、
新たな価値観が育まれている今、
ただ漫然と同じ日々を繰り返していた。
木村はしかしそれで良いと思っていた。
誰に何と言われようとも自分の生き方を変えるつもりはない。
皆は木村のことを哀れと言うが、
他人の生き方を否定する彼等のほうこそ哀れだと、木村にはそう見えていた。

木村は今日も一人、街を歩いていた。
角を曲がると先に見知った顔を二、三見つけ慌てて引き返した。
こちらに近づいてくる足音に震えながら、角の奥にある店に入った。
木村の首筋に嫌な汗が伝った。
そこは外から見ると何の店かわからないが、
どうやら糸を売っているらしかった。
木原は全裸になった。
全てを解き放ち、今木下は自然と一体となった。
木本の両腕に冷たい鉄の輪がはめられた。

「彼は生きているのか?死んでいるのか?
今となっては確かめる術はない。
しかしそんなことはどうでもいいのだ。
私はただ眠りたい。」

木作は毎晩鉄格子の隙間から星を見ていた。
何故か木汗は星座のことをよく知っていた。
「あれは確か測定策座だったか。
私はもうアルツハイマーになりたい。」

木ぽとは昼食に出てくる御御御漬けを扉の鉄格子に吹きかけ、鉄を腐らせ脱獄した。
キムラスペシャルは真っ先に亜丹眼ショップに行き、亜丹眼Tシャツを買った。

ルイ・キームラトロングはある場所に向かっていた。
木橋にはまだ果たさなければならない使命があった。
キマリは彼の元に急ぐ。徒歩で。
その場所に着いたとき、キーファはもう夜にしか眠れぬほど疲弊していた。

「待っていたさ。あと三年ほどは。」
「だがしかし、ここにはもう、いられぬだろう。
東へ向かうべきだ。私にも時間がない。」

デニーズ山西は彼と少しの言葉を交わすと、次の場所へ急いだ。
「行かなければならない。今日がもう、最後なんだ。
見逃すわけにはいかない。」
相田マルコはしかし、すでに疲労困憊していた。
仕方なく路線を利用し、帰路に着いた。

準備は万端だったが、それでもやはり、この目で見ておきたかった。
本当にこれでもう最後なのだ。
彼の目から自然と涙が溢れ出た。