遥side
そして、俺らは文化祭に向けて準備を開始した。
本番は9月、まだ後二カ月ほどある。
何とか間に合うはずだ。
というわけで、俺たちは今、
公演でやる演劇の内容を決めていた。
「やっぱり、ココは脚本を作る恭哉に
決めてもらうのが一番じゃないのか??」
「いや、俺が最初からに作るのは
時間がかかりすぎる。
童話とか、神話とかから
引っ張ってきた方がいいだろう。」
そんなまじめな話をする中、
渡草がなぜか大量の本を持って、
よろけながら教室に入ってきた。
「ねぇ!!この中から決めようよ!!
いっぱいあるんだよ??
あたしはねぇ、白雪姫とかシンデレラとか…」
突然入ってきて、
何を思ったか語り始める渡草。
俺と恭哉は同時にため息をついた。
「なぁ、昔からこんなんなわけ??」
「あぁ…。」
昔からかよ…、
俺はそうは思いながらも、
ワクワクしながら本を選ぶ絵里を見て、
何故だか分からないが嬉しくなっていた。
コイツの表情はいつもコロコロと変わっていく。
見ていて…、こっちまで嬉しくなるような、
そんな気持ちになるのだ。

