その日も猫は日向ぼっこをしていた。
(俺はいま、太陽によって暖められている)
(説明せんでも分かるよ)
(うむ。猫まんぞく)
 黒猫の黒い毛はお日様をいっぱいに浴びてポカポカした。

 猫がいい気持ちで寝ていると、神社にマルチーズがやってきた。
「こんにちは猫くん」
「こんち。何ゆえお座敷犬がこのような所に?」
 マルチーズはため息混じりにつぶやいた。
「いろいろな世の中のしがらみから逃げてきました」