神社にも雪が降った。
 風のない午後の林の中を雪たちは無軌道にたゆたいながら落ちていき、とけて大地に吸われていった。
 猫は少女から貰ったクッションに丸くなり、寒さをしのぎながらラジオを聴いていた。
(キツネさん、今日はバート・バカラック特集をやっていますよ)
(そうだね)
(寒いので猫は寝るしかありません。せめて美しい夢を見ることとしましょう)
(じゃあ俺が手伝うよ)
 夢の中で、猫は白い狐と一緒にアルプスの山々を歩いた。