朝からの曇り空で、お昼近くになっても気温はいっこうに上がらなかった。直接肌にあたれば冷たい空気がいくらでも体温を奪っていったであろうが、自慢の黒くやわらかい毛が猫を寒さから守った。
(とはいえ何か食べないと体が温まらないな)
(お供え物ももう無い)
(そうね、ちょっとハンティングしてこようかしら)
 猫は神社を出て林の中に向かった。林には野ネズミや虫などの小動物がいる。猫は時々ここで狩りをするのだ。