(キツネさん、ちょいと同居させてもらっていいですか?)
(いいんじゃねえの、俺なんて祭られてるだけだし)
(サンキュー)
 風が吹いた。木々の高いところの葉がずいぶん鳴ったが、猫のいる低いところは林に遮られ緩やかに猫のひげを揺らす程度であった。
(夜になれば冷え込む。昼間のうちに日向ぼっこでポカポカしまくってやる!)
 猫は境内で丸くなった。
(俺は黒猫だから日光激吸収して熱効率猫界ナンバー1だ。母猫に感謝)
 やわらかい日差しがゆっくり神社の屋根や木々や土や猫たちを満たしていった。