私は小さく笑って感じるままに答えた。


「ぜひ、お願いします」


心のままに正直に、答えを出すと楽になった。


チサの言動で揺れたり痛んだりした胸も、真夜中に蓮さんと会った時に抜け駆けしているように感じた意味も。

チサに好きな人ができて晴れたモヤの正体も。

……蓮さんの真剣な目を見たくて、偶然を作ろうとしたことも。


全部、私が蓮さんを気になっていた証でしかない。



「蓮さんって人の心、奪うの得意でしょ?」


蓮さんが手がけるディスプレイと同じ。

いつの間にか心を奪われてた。

今度は蓮さん自身に。

もしかして最初から、あの人懐っこい笑みと人柄に惹かれていたのかも。


「バレた?」


蓮さんが得意気に胸を張る。


二人の笑い声が静かな空間に響いた。