もしかして……私も蓮さんも、同じものを狙ってたの?


「……う、自惚れかもしれませんが……私に会えるかもっていう期待があったんですか?」

「うん、そう!」


なんのためらいも無く頷かれると、照れながら聞いたこっちが恥ずかしくなる。


「でも菜月ちゃんもあそこで座ってたのって……俺を待ってた?」


蓮さんは顔を覗き込むようにして上目遣いで私を見てくる。

近づいた距離に、さらに全身が上気する。


「……ま、待ってた……かもしれませんね」

「じゃぁ出して?」

「へ?」


手を差し出されて私は固まる。

……何を出せばいいんだろう?


「俺へのチョコ、あるでしょ?」


蓮さんはいたずらな顔をしている。

この人、私がバレンタインに無縁だって思ってたことまで見抜いてる!?


「れ、蓮さんも自信過剰ですよ!」

「ひどいなぁ。俺は用意したのにー」

「……え?」


会えるかどうかわからない相手に?