スノーマンは私からメニューを受け取っておきながら開くことはせず、

「あー、ホットコーヒー1つ。超苦くしてくんない?」

と、注文をしてきた。


「……苦く、ですか?」

「俺、昨日の夕方から寝てないの。だから眠くって。目が覚めるようなのお願い~」


私にメニューを返しながらスノーマンは盛大にあくびをする。


「寝た方がいいんじゃないですか?」


余計なお世話と気付いた時には口が動いた後だった。

でもスノーマンは何も気にすることなく、気心知れた友達と話すかのように話してきた。


「寝らんないのよ、これが。まだ仕事があるんだよね。今、ちょびっと休憩中!」

「仕事って……雪山かどちらかの?」

「へ……?雪山?」



スノーマンはキョトンと丸くした目を私に向ける。